普通のお父さんを知らない息子
ある日、息子が私にこう尋ねました。
「普通のお父さんて、どんな感じ?」
聞いた瞬間、言葉に詰まってしまって、上手い答えが見つかりませんでした。
体調を崩して仕事ができなかったのは仕方が無い。
でも、幼い息子を無視したり、怒鳴りつけたり、叩いたりは父親としてやってはいけないことです。
息子は小さな頃から父親の喜ぶような答えを出さなければならない、という強迫観念のもとで過ごしてきたので、脱出してからも数カ月間は自分の意志や意見というものがありませんでした。
2年位経ってから、ようやく自分の思いややりたい事が出てきたと思ったら、こんな疑問がわき上がったんですね。。。
3年生の頃、仲の良いお友達に相談したことがあったそうです。
「家に帰るといつもお父さんに怒鳴られたり殴られたりするから家に帰りたくない」と。
家で起こった出来事を聞いたお友達は、さぞ驚いたことでしょう。
普通のお父さん。
それがどういうものが分からない息子は、おじいちゃんをお父さんのように慕っています。
きっと、何か間違ったことをやっても、意向にそぐわない行動をしたとしても、激高して蹴るようなことはないんだろうな、と感じているようです。
そして、「ママはおじいちゃんがお父さんで良いなぁ~」と言います。
ごめんね。息子くん。
心が大きくて守ってくれるようなお父さんだったら良かったのにね。
自分の気分でコロコロと態度が変わることなく、いつも同じように接してくれる人だったら良かったのにね。
でも私は見抜けませんでした。
けっこう長く付き合っていたのに、怒りっぽいのは「気が短いのね」
他人に厳しいのは「正義感が強いのね」
と都合良く解釈していたからです。
これからは私が父親の代わりもします。
お母さんとお父さん、一人二役です。
時々私も、「こういう時、世の中のお父さんはどう対処しているんだろう」と考えてしまうこともありますが。
でも、迷いながらも進んでいこうと思います。
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